~ 何色にも染まるたおやかさ 染まらない凛凛しさ ~

『生きる』をかんがえる ~ こころ篇 ~

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photo credit:takasuii via Flickr (license)



白色の自己主張 ~ 何色にも染まるたおやかさ 染まらない凛凛しさ ~



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ドラマ『刑事7人 Season3』第三話「慈愛」に、こんな場面があった。
http://www.tv-asahi.co.jp/keiji7_03/



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警視庁に10ある方面本部の枠を取り払い

臨海エリアを専任に捜査する
第11方面本部準備室を立ち上げた室長 片桐正敏(かたぎり まさとし)は
http://www.tv-asahi.co.jp/keiji7_03/cast/

野良犬と呼ぶ警察内での異端な連中

初動捜査担当 天樹悠(あまぎ ゆう)
鑑識・情報収集分析担当 山下巧(やました たくみ)

初動捜査以降に合流する

沙村康介(さむら こうすけ)
水田 環(みずた たまき)
青山 新(あおやま あらた)

らを束ね別働隊として組織する前
法医学者 堂本俊太郎(どうもと しゅんたろう)の協力も仰いで

警視庁捜査一課12係係長
警視庁刑事部刑事総務課課長

彼らを使って順調にキャリアを重ね政治力を付けてきた。



新設する方面本部の存在を渋ったり
苦々しく思ったり
真意を計り兼ねる各方面本部長を前に片桐は

第11方面本部準備室は
街に野良犬が居るようなものとお考えいただければ

ひたすら平身低頭だが本当の狙いは

政財界に影響力を持ち
裏社会とも繋がりがあり
警察人事にも介入する臨海エリアの大名主

報恩と報復を家訓とする馬久根家 第十八代当主
馬久根恒義(ばくね つねよし)を潰すため。



家訓故歯向かえば無傷では済まぬことを覚悟し
日々起こる馬久根の影がちらつく事件の捜査を通じて狡猾に揺さぶりを掛け
以前行われた臨海エリアの大規模な浄化作戦を上回る浄化作戦へと打って出ていく。



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臨海エリアで、連続して血が抜かれる猟奇的な事件が発生。

被害者は既に3人にものぼっていたが
未だ犯人は捕まらずにいた。

被害者はいずれも
スタンガンを押し当てられた場所から血が抜かれ

スタンガンの跡が牙が突き刺さったように
まるで吸血鬼に血を吸われたように見えたことから

ネットを中心に「吸血鬼が出た」と大騒ぎに。

第11方面本部準備室の面々の捜査が難航するなか
ついに4人目の被害者を出してしまった。



だが今までの被害者は血を抜かれるだけで命を奪うことまではしなかったのに
4人目の被害者で中学校の英語教師 金井真由美(かなみ なゆみ)は
殺害にまで至っていた。



1人目の被害者:高校生 小川紗絵(おがわ さえ)
2人目の被害者:文具店店主 工藤正彦(くどう まさひこ)
3人目の被害者:塾講師 岡部省吾(おかべ しょうご)
4人目の被害者:中学校教師 金井真由美

4人に今のところ接点はなく
血を抜く目的も判らないまま。

なぜ金井真由美だけが殺害に至ったのか
単に犯行がエスカレートしただけなのか

生存者への事情聴取を始めると工藤と岡部は
自分以外の被害者の写真を見ても知らぬ存ぜぬの一点張りだったが

紗絵だけは金井の写真を見た時に動揺したことを天樹は見逃さなかった。



さらに事情聴取を進めると
同僚だった教師が生前金井が

「50~60代くらいの男に跡をつけられている」

不安を漏らしていたことが判った。



そんななか

定年を一週間後に控えた臨海エリアの警官 大友(おおとも)が
警ら中に失踪したとの情報が入ってくる。

拳銃を所持したままで
調べると金井が襲われた日が非番だっただけでなく

1人目から3人目の被害者が襲われた日も非番。

しかも金井の目撃証言
50~60代くらいの男にも合致していた。



すぐに重要参考人として行方を追うなか
5人目の被害者が出てしまった。



襲われたのは、都議会議員 西本雅也(にしもと まさや)。
体内の血液が総量からきっちり二分の一抜かれていた。

それは致死量を意味するものだが
金井と同様の手口で抜かれる量まで同じ。

司法解剖した法医学者 堂本は
卓越した医療技術を持つものの仕業だと睨み

大友以外に共犯者が居る可能性も浮上してきた。



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その頃ネットでは

「被害者全員がAB型」
「献血した直後に襲われた」

噂が拡散し

厚生労働大臣 北川誠一朗(きたがわ せいいちろう)自らが記者会見して
献血への協力を呼びかけていた。



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徐々に事件の全容が見えつつあったが
相変わらず捜査は難航。

天樹は突破口として

紗絵が被害者の写真を見たとき
金井の写真にだけ動揺したことに何か事件の謎を解く鍵があるはずだと

同性の水田だから話せることもあると事情聴取を任せた。



重い口を開いた紗絵の証言から
事件の真相が見えてきた。



紗絵の私立中学時代の同級生 佐々木真人(ささき まさと)は
中学校の名誉理事 北川誠一朗の息子から

父が名誉理事
真人は母子家庭

そんな力関係なのをいいことに

自分より野球が上手い真人のグローブを
母が買ってくれた大切な大切なものなのに

手下の連中に机に押さえつけられた目の前で
笑いながらカッターで切り裂かれるという酷いいじめを受けていた。



それだけではない。



万引きを強要され
ガラス越しに主犯の息子がいるのが判っていながら
真人だけを叱責した文具店店主 工藤。



以前教えていた塾で
主犯の息子から授業料をカツアゲされているのを
見て見ぬふりした塾講師 岡部。



そして紗絵自身は

真人からいじめの相談を受けていたのに
担任に話せば自分にも矛先が向くことを怖れて逃げ

真人の死後転校した。

真人と紗絵のクラスの担任は、金井真由美。
真人の母 奈月(なつき)にも言い出せなかった。



いじめは

名誉理事を務める北川が支援して都議会議員に当選した
教育委員 西本雅也が北川の息子であることを忖度し
中学校の学長と口裏を合わせて

ひとり親の母親の収入では高等部への進学が困難で
将来を悲観してのものだった

と教育委員会に報告させ結論付けた。



北川が西本の後ろで睨みを利かす教育委員会も了承し
金井は西本から現金を受け取って口止めされ
他校へと転勤していった。



警官の大友は真人の自殺を最初に発見していて

連絡を受け駆け付け亡骸と対面した母 奈月が
いじめのことを口にしたことから署へと報告したものの

遺書も確証もなく
事件性なしと判断され

(ここにも議員の圧力があったか)

教育委員会も西本と北川の隠蔽圧力に屈し
大友の抗議も虚しくいじめはなかったものとして葬られた。



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納得のいかなかった大友はその後も独自に調べを進め
真人の自殺・隠蔽に関わった人物を特定。

主犯である北川総一朗の息子が
進行性の難病で ICU(=集中治療室)に入院し

入手が困難な RH-(アールエイチマイナス)AB型の血液を
手術にあたって今か今かと待っていることも掴んだ。



現在はクリーニング店で働くが
以前は看護師だった奈月と真犯人を葬りたい思いを同じくし

隠蔽の関与の度合いによって血を抜くだけで済ませるか
致死量にあたる二分の一まで抜き取るかを決め

次々に制裁を課していった。



吸血鬼騒動を引き起こした本当の狙いは

噂を拡散させることで献血不足を招き
主犯の息子に RH-の血液が手に入らないようにするためのものだったが

現役大臣の息子であり
ICU に居ることから

警備が厳重で襲うことはまだ出来ずにいた。



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大友の狙いが判った第11方面本部準備室の面々は
居場所の判っている奈月が働くクリーニング店を訪ねるが
警察の動きを察知したのか姿を消していた。



ふたりとも行方をくらます最中

臨海エリアを警戒中の警察官らの前に
大友があえて見つかるように姿を現した。

第11方面本部準備室にも連絡が入り現場へと向かうが
天樹はなぜこのタイミングで姿を現したのか引っかかり

紗絵を訪ねた水田と共に
主犯の息子が3週間前から入院する病院へと向かった。



警察官らにポーズのような抵抗を示し
あっさりと取り押さえられた大友は拳銃を所持していなかった。

自分がマークされ
大勢の警察官が自分を追っていることは

自身も警察官なのだから良く知っている。

だから姿を現せば上を下への大騒ぎになり
自分に目を向けさせることで別に動く奈月への捜査が手薄になる。



狙いはそこにあった。



その頃奈月は

現役大臣の力で RH-の血液をなんとか確保させ
ヘリで血液のある病院へと搬送するため
ICU を出る息子の医療チームの一員に看護師となって潜り込み

屋上のヘリポートへと同行していた。



警備が手薄になるこの瞬間を待っていた。



ヘリポートへと出た時だった。

奈月は大友から渡され
隠し持っていた拳銃を空に向けて発砲し

怯んだ隙きに主犯の息子のベッドを
ヘリポートの端ギリギリの所まで引っ張っていき近づけないようにし

呼吸器を外して警報音が鳴り響くなか
銃口を付き添っていた北川に向けた。



息子が目の前で死ぬのを見れば
真人を亡くした自分がどれだけ苦しんだのかが判るはずだと。



そこへタッチの差で駆け付けた天樹と水田。
天樹は、北川の盾になるように間に割って入った。



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奈月:

あなたには関係ない。
邪魔しないでください。

(じりじりと間合いを詰める天樹)

奈月:

やめて!
来ないで!

(撃鉄を引く奈月)
(それでも間合いを詰める天樹)

(正対し銃と手を取りやめるよう下ろしていく)
(その隙きに医療チームと水田が息子を再度 ICU へ連れて行こうとする)
(引き渡してベッドから手が離れ振り返った水田)

水田:奈月さん!

(視線の先には投身しようとしている奈月の姿)

奈月:

真人の所に行かせてください。
真人が居なくて、生きてる意味なんてない。
・・・真人、ごめんね。
何も出来ないお母さんで。

水田:

それで、真人君が喜ぶんですか?
あなたが必死に育てた真人君は、あなたが死んで喜ぶような子なんですか?
真人君は死ぬ覚悟をしても、感謝の気持ちを忘れない子だった。
だから、『ありがとう』と書いた(野球の)ボールを・・そうじゃないんですか?

お母さんは、真人君のためにも生きないといけないんです。
あなたが生きなきゃ、真人君のことを大切に思い続ける人が居なくなる。
それは、真人君にとって一番哀しいことじゃないんですか?

お願いです。
生きてください。

(回想:自殺する夕方 夕食を作る奈月に「すぐ帰るよ」と出掛けた真人)
(振り返った視線の先のテーブルには『ありがとう』のボール=ないと思われていた遺書)
(天樹と水田も奈月の行方を追い自宅を訪れた時に目にしていた)

(想いが届き、真人の名前を呼びながらその場で泣き崩れる奈月。やりきれない事件、やむを得ない思いから罪を犯したが容疑者だが、寄り添い、背中を擦る、いつもはクールな水田の姿がそこにはあった)




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東京 ←→ 名古屋
日本 ←→ アメリカ

13年間の遠距離恋愛の末婚約した愛しき女性を挙式直前に病気で亡くしたとき
心身のバランスを崩して

後追い自殺に取り憑かれていた時期があった。



強弱というか波があり

両親の虐待による育ちの傷
学校や職場でいじめや暴力を受けたことによる心の傷
コミュニケーション障害など生きづらさによる他の要因も重なって

中学2年生のときいじめを苦にして自殺して以来
35歳になるまでに7度の自殺未遂を繰り返してきた。



そんな取り憑かれたような自殺願望が7度目を境にぴたりと止まったのは
結婚した今のパートナーのこんなことばだった。



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婚約者を亡くしたからといって

まるで契約満了みたいにそれまでの彼女のご家族との関係が
「はい!終了」なんてあっさり終わるわけではなく

実の家族とは虐待を受けて育ったこともあって
そんなぼくにとって初めての『家族』と呼べる人たちだから

月命日には心の中で手を合わせ
命日にはご実家やお墓を訪ねて毎年手を合わせてきた。



不帰の人となってからも

ぼくのことをまるで自分たちの息子のように
お兄様は弟のようにいつも気にかけてくださり

陰日向にしあわせになってほしいと願ってくださった。



そんな恩に報いたいなと彼女を亡くしあまりの喪失感から

「人を好きになるってどういうことだっけ?どうするんだっけ?」
「人を愛するってどういうことだっけ?どうするんだっけ?」

判らなくなっていたぼくがいつか結婚したいと思える女性に出逢えたときには

よかったらここに連れて来てほしい
よかったら一緒に祝福させてほしい
ヒロくんのしあわせとあらたな一歩をお祝いしたい

ご両親から言われていたから
パートナーを連れてご実家へと足を運んで紹介した。



正直こういう展開や
ぼくが命日にご実家へと足を運ぶことを
パートナーがどう思っているんだろうと連れて行く前は思っていた。

でも帰りの新幹線
彼女が言ってくれたことばでそんな邪推は吹き飛んだし

ぼくはもう後追い自殺も含めて死のうなんて思わなくなった。



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彼女さんのこと、無理に忘れようとか、乗り越えようとか思わなくていいから。思い続けてほしい。ヒロくんにしか語れない彼女さんのことってあると思うの。友達にも、親にも見せたことのない、ヒロくんだけが知ってる彼女さんのこと。

図書館丸ごと大好きな絵本読んじゃって、日本にある絵本丸ごと全部読んじゃって、全部覚えてるヒロくんの卓越した記憶力って、そうやっていつまでもいつまでもご両親だったり、お友達だったりに、ヒロくんが聞かせてあげられるようにって授かったものでもあるんじゃないかなぁ。

きょうお逢いさせてもらったお父様も、お母様も、お兄様も、お友達も、「そんなことあったんだぁ」とか、「知らなかったなぁ、そんな一面」って、みんな幸せだったもん。




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こういうことがさらりと言えるパートナーってすごいなと思った。

なにを見ても
なにを聞いても
なにを食べても
なにを感じても「ヤバイ」の一言で済ませちゃう人みたいで

彼女のことばや存在を「すごい」って表現するのは
陳腐で安っぽくてなんか嫌だけれど

言い得て妙なものは
ぼくの今の貧弱なボキャブラリーだとこれ以外出てこない。



木の年輪のようにぼくの外側へ外側へと広がる

婚約者のことだけでなく
愛するパートナーのことも

互いの家族のことも
互いの友達のことも

今までご縁あって出逢えた方たちのことも
これから出逢うであろうまだ見ぬ人たちのことも

ずっとずっと憶えていて
いつまでもみんなと語らっていたいと思った。



なにより、生きたいと思った。
命ある限り。



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前に毎日新聞朝刊の連載『女の気持ち』

心に響く曲 横浜市・匿名希望(大学生・20歳)で
https://mainichi.jp/articles/20170803/ddm/013/070/011000c

関ジャニ∞(かんジャニエイト)のみなさんが唄う
「生きろ」という歌に救われた女性のことばが載っていたけれど

ぼくは、「生きろ」って言われるのが嫌だ。

それが苦しくて苦しくてたまらないから死を選んでいるのに
選ばざるをえないのに

追い打ちをかけるようで逃げ場がない。



ぼくは、「死ぬな」って言われるのが嫌だ。
「命を大切にしろ」って言われるのも嫌だ。

「んなこと言われなくても判ってる」
声を荒げて言い返したくなる。

明日をも知れぬ時代を生きた苦労や思いはあると思うけれど
年長者の軍隊みたいな説教調は吐き気さえする。

生きるのが辛い人に死ぬなと言ったら
一体どうすればいいんだろうと途方に暮れてしまうだけだ。

正論を吐かれたところでてんで響かない。



ぼくは、「だからあなたも生き抜いて」って言われるのが嫌だ。
ベストセラーにもなった本のタイトルでもある。

あなたとぼくはイコールじゃない。
あなたとぼくは違う人だ。

励ましているようでいて
わたしにも出来たんだからあなたにも出来るっていう

「できて当たり前」という精神的暴力を振りかざしているだけにしか見えない。



どれもこれも反発しかない。



でも水田の


あなたが生きなきゃ、真人君のことを大切に思い続ける人が居なくなる。
それは、真人君にとって一番哀しいことじゃないんですか?


パートナーの


彼女さんのこと、無理に忘れようとか、乗り越えようとか思わなくていいから。
思い続けてほしい。
ヒロくんにしか語れない彼女さんのことってあると思うの。
友達にも、親にも見せたことのない、ヒロくんだけが知ってる彼女さんのこと。


ふたりのことばを思うと

「生きよう」
「生きたい」

って思える。



脳みそ筋肉野郎の「!」が付いた暑苦しいことばでもなく

誰に強制されるでもなく
無理矢理じぶんを鼓舞するでもなく
へんちくりんな使命感でもなく

抑えきれないほどに
湧きあがるように。



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人は、独りでは命を大切にしない。
一緒に居たい、哀しませたくないって人が居るから、人は自分の命を大切にする。

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飛行機が墜落した現場に出向いた藍沢は、炎上する真っ二つに割れた残骸が鎮火後、中にレスキュー隊が見落としていた生存者を見つける。鎮火前、炎上する機内に息子を置いて逃げ出してきたと言う男性を偶然診ていた藍沢は、フライトドクターをサポートするフライトナース冴島(さえじま)にここへ呼んでくるよう依頼。

身体を入れるだけでもやっとのスペースで懸命に命を救おうとする藍沢に対し、生きることを諦める息子。息子を見捨てた罪深さから向き合おうとしない父親。そんなふたりに藍沢は、技術だけでは救えない、力を貸してほしいと語りかけた。

フライトドクター候補生「フェロー」
藍沢耕作(あいざわ こうさく)のことば

コード・ブルー ~ ドクターヘリ緊急救命 ~ THE SECOND SEASON
#11 卒業~奇跡の定義から
http://fod.fujitv.co.jp/s/genre/drama/ser4165/




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photo credit:takasuii via Flickr (license)