贈りもの - 白色の自己主張
~ 何色にも染まるたおやかさ 染まらない凛凛しさ ~

贈りもの

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photo credit:Vida Dimovska via Flickr (license)



白色の自己主張 ~ 何色にも染まるたおやかさ 染まらない凛凛しさ ~



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【シリーズ】 『がん』をかんがえる
http://ippunkan.blog.fc2.com/blog-category-64.html

末期がんの父と駆け抜けた約4ヶ月を
苦悩や歓びをここで何万字と綴ってきましたが

2017年11月17日(金)

午前3時31分
永眠しました。

享年78歳でした。



『死んだ』ではない。
父に『死んだ』は似合わない。
命の炎を最期の一秒まで美しく燃やした『生ききった』人生でした。



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父を看取った後
ひとり静かに書いた日記。

緩和ケア病棟の談話室にあるノートにも
同じ想いをしたためてきました。

父に宛てた手紙です。



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11月17日(金)午前3:31 父 永眠。

夜勤の看護師さんが最後に様子を見に来てくれたのが、2時30分頃。病室で付き添っていて、うつらうつらしていて、身体を休めていたソファーベッドからふと見た父がぜぃぜぃいってない。飛び起きると、もう呼吸をしていませんでした。

すぐさまナースコールし、この日担当してくれていた看護師さんに診ていただきましたが、やはり呼吸していない。心臓にぼくが手を当てても、昨日の夜身体を休める前にこの手に感じた鼓動はもうありませんでした。3時を少し回ったところでした。

『この世の最期の時を手を握って』今から23年前に母を看取った時のようにはいきませんでしたが、『父を独りで逝かせない』この想いだけは叶えられたように思います。前日の父を見て『きょうか明日かもな』と感じた息子としての実感は、やはりまた当たってしまいました。

今の父は、クリスマスに変身する予定だったサンタクロースのボランティアの願いを叶えてあげたいとのぼくの希望から、ベッドの上でサンタになっています。『やっぱ似合うなぁ』亡くなったばかりなのに笑っています。

思えば、ここへ転院してきてからも笑っていました。スタッフの皆様とはいろいろありましたが最後に残るのは、やはり感謝しかありません。笑顔に始まって、笑顔に終わる。この想いもまた叶えられました。

そして、父の人生の最期に良い感情・幸せな記憶を心に刻んでもらうことも。
良い感情・幸せな記憶を心に刻んだぼくらが父を見送ることも。

お父さん。お父さんともいろいろありましたが、あなたの息子に産まれてよかったです。この世にぼくを送り出してくれたふたりを看取ることが、見送ることができてよかったです。これで少しは人並みに親孝行できたでしょうか。

追伸:

死亡診断書の発行は、事務が動き出す朝9時以降。父が夜中に永眠したのは、それまでの時間家族がゆっくりお別れできるようにと、あえてこの時間を選ぶために頑張ってくれたのかもしれません。約4ヶ月共に駆け抜けた家族への、父の、この世で最後の贈り物かもしれません。

2017.11.17(金) ぼんくら息子




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緩和ケア病棟へ転院してきてすぐの頃担当看護師さんから


『亡くなった時、ここからご自宅や葬儀会館へ行く時に着せてあげたい服を決めておいてくださいね』


と言われたぼくは

去年に引き続いて今年もサンタクロースのボランティアで
サンタになることを楽しみにしながら叶えられそうにない父のために

『サンタクロースの衣装で』

迷わず答えていました。



この病院の素晴らしいところは
こんなぼくの願いをあっさり OK してくれること。



実際亡くなった時には

病室にラッピングして飾ってあったサンタクロースの衣装を
看護師さんたちがわいわい言いながら楽しげに着替えさせてくれて

呼ばれて再び病室に戻った時には
白いお髭までフルセットのサンタクロースが眠っていました。



お迎えの車が到着して病院から葬儀会館へと運ばれる時も
白い布こそ掛けられて運ばれましたがサンタクロースのまま。



湯灌の儀が行われるまでずっとサンタが眠っていて

湯灌の儀が終わってからは
仏衣を身に纏った父の身体の上に

サンタクロースの衣装を掛けてくれていました。



真っ赤な帽子と白いお髭ももちろん。



遺影の写真も、去年のボランティアの時に撮ったサンタ。

葬儀会社の事前アンケートに父の想いを綴ったことで
葬儀会場にはクリスマスソングが流れている。

通夜へのご弔問
告別式へのご会葬をいただいた方は皆

涙ではなく笑い声がこだましていました。



想いのリレーがそこにはありました。



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火葬場で『終わりました』とのアナウンスがあって
控室から父の骨上げをする場所へと向かう途中

サンタの遺影を抱いていた姉が
これから控室へと向かう人たちとすれ違った時


『あっ!サンタさんだ♪』


子どもの可愛らしい声が聞こえてきました。



『サンタさんが死んじゃった』って思ったかな。



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初めての喪主で

判らないことが判らないままに
てんやわんやで終わった葬儀は
両日共会場に入り切らないほどの人に恵まれ

参列くださった方々から
父の知られざる姿をいっぱい聴かせていただきました。



葬儀の連絡が間に合わなかったりできなかった方々からは
ありがたいことに『手を合わせに伺いたい』とのお話がありました。



ぼくらの知らない生前の父の話が聴ける。



父はそんな楽しみを
死して尚ぼくらに遺してくれたのかもしれません。