白色の自己主張

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ほんのひととき

白色の自己主張
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白色の自己主張 ~ 何色にも染まるたおやかさ 染まらない凛凛しさ ~



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                  338通目



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毎日新聞朝刊の日曜別刷り『日曜くらぶ』に連載されている
心療内科医 海原純子(うみはら じゅんこ)さんのエッセイ 『新・心のサプリ』

12月17日(日)掲載 クリスマスソング
http://www.umiharajunko.com/blog/archives/8956

に、こんなことばがありました。



心療内科医
文筆家
そして、ジャズシンガーとしてもご活躍される海原さん。

クリスマスの時期にディナーライブを行うため
ふだんとは違ってクリスマスソングを唄いたいと考えます。



どんなセットリストにしようか
ご友人に聞いてみたところ数曲挙がった中に

『Have Yourself A Merry Little Christmas』

という歌がありました。



悩みを忘れ
この日だけは心軽やかにささやかなクリスマスを

そんな願いが込められた歌なのですが
Web 上の解説の中に


『たった一日悩みを忘れていても問題は解決しない。
単に問題を先送りしているだけじゃないか』


とあるのを見つけ

こう想いを綴り
今年のクリスマスライブで唄うことを決めたそうです。



                    *




確かにその通りなのだ。クリスマスのその日1日悩みを忘れていても問題は解決しない。しかし、この曲は1944年「若草の頃」というアメリカ映画の中で歌われてヒットした曲だ。戦争中で暗い気分が社会に漂うなか、戦争に兵士としてかり出された家族や親しい友を想い、人々はこの曲を口ずさんだのだろう、と思う。

歌詞の中に「もしまた運命が許すなら」またその親しい仲間とつどいたい、という一節がある。クリスマスが来ても会えない人々を想い、その日1日、戦争のことを忘れ幸せで平和な日々が戻ることを願いながら歌うことでしか救われないその気持ちを、「現実を直視せずに問題を先送りにしているだけ」とはとても言えない。戦争を知らない世代、あるいは、祈ることでしかそのつらさに耐えて先に進めないような困難さを経験もせず、想像もできない人にはわからない歌詞かもしれない。




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『モテハピ』は、『モテモテ&ハッピー』の略。

じぶんも
大切な人たちも

ハッピーになる生きかたの提案。



『じぶん Love ♥ から はじめよう』をコンセプトに

じぶんにモテる人は
同性・異性にもモテる

同性・異性にモテる人は
社会にもモテる

じぶんモテ → 同性・異性モテ → 社会モテするじぶんを

ファッションのチカラを味方にして
カタチにしていくお手伝いをしているライフワーク

パーソナルスタイリング * モテハピ *
http://ippunkan.blog.fc2.com/blog-category-14.html

以前こんなお客様のスタイルングを
担当させていただいたことがありました。



                    *



既にお付き合いのあるお客様からのご紹介でお逢いした『ひろこさん』は

お母様の介護で仕事を辞められてからは
(正確には身内で自分しかいなかったから泣く泣く辞めざるを得なかった)

家を出る時といえば買い物か
病院への付き添いかといった程度。

以前は流行に敏感で

お洒落で
洗練されていて
お出掛け好きでしたが

外出する機会はめっきり減ってしまいました。



そもそも人と逢う機会が減ってしまったために
またお母様の介護で手一杯で余裕もなくなってしまったために

メイクもしなくなり
髪もボサボサ

洋服も汚れたり破れたりしてもいいような
適当なものへと変わってしまっていました。



当時のことを

『オンナであること忘れていた』
『籠の中の鳥』

と振り返っています。



鏡を見て
あまりに老け込んだ自分を見て
『誰?』思わずつぶやいたといいます。



そんなひろこさんの元に
大学時代のご友人から同窓会の招待状が届きます。



介護を始めて2年が経っていました。



それまでにも高校時代のご友人から
同窓会の招待状が届いたことがありましたが

たとえ数時間であっても家を空けることさえ叶わず
欠席に○をつけて葉書を出さざるを得ませんでした。



友人に上も下もないのですが

大学時代のご友人たちとは特に
『生涯の友』と呼べる人に多く恵まれ思い入れが強い。

しかしながら卒業後は
仕事に寝食を忘れ没頭していたために

逢う機会が一度もありませんでした。



ですから、逢いたい気持ちが抑えられません。



夫や親戚に頼み込み
なんとか協力を取り付けて

同窓会の日一日だけ
お母様の介護をお休みすることが叶います。



ちょうどそんな頃でした。
紹介で、ひろこさんとお逢いしたのは。



                    *



ひろこさんからのオーダーは

『生涯忘れられない同窓会にしたい』

そんな日を彩る洋服を選んでほしいというもの。



ひろこさんはぼく以外におふたり
同時にスタイリングのオーダーを出されていて
その中からこれはと思うものを選びたいとのことでした。



パーソナルスタイリストは

芸能人のお客様などとは違って
予算に限りのある一般の方がお客様です。

ですから限られた予算の中で
お持ちの洋服などと組み合わせることが可能であること。

あたらしく揃えられるにしても
着回しが出来るものをご提案するのがセオリーです。



ですがぼくは敢えて着回しのきかない
一点もののドレスを選びました。



お母様の介護がいつまで続くかは判りません。

ヘルパーさんなど家族以外の力を借りるようになったとはいえ
彼らはわずか1時間など短時間で帰ってしまいます。

夫や親戚に頼み込み今回はなんとか協力を取り付けましたが
今後は難しいかもしれない。

介護前のように出掛ける機会は
当面やって来ないかもしれません。



同窓会を終えて帰れば
籠の中の鳥に戻ってしまいます。



そんなひろこさんの心を支えるために
パーソナルスタイリストはなにが出来るのだろう。



考えに考えたのが

着回しのきく洋服をご提案し
同窓会以降出掛ける時の楽しみにしていただくよりも

(もちろんこれはこれで未来に向けての楽しみにはなり得ますが)

会場の視線を独り占め出来るような
一日中同窓会の主役になれるような
そんなドレッシーな装いをご提案し

『生涯忘れられない同窓会にしたい』

ひろこさんのお背中を押す形で願いを叶えて差し上げ

ドレスに宿った善き感情・幸せな記憶を支えに
この先も続くであろうお母様との介護の日々を生きていっていただけたらと願い

セオリーに反したご提案をしました。



                    *



選んでいただけました。



ぼく以外のおふたりのパーソナルスタイリストさんは
着回しのきくご提案だったそうです。



洋服は、着る人を輝かせるだけではない。
その想いが、ひろこさんの心を射止めました。



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あれから更に2年程経ち
ひろこさんは、お母様をご自宅で看取られました。



お手紙をいただき
『是非お礼がしたい』とのお申し出がありましたから
お誘いいただいたカフェへと伺いました。



4年一ヶ月

お母様との介護の日々のうち
特に後半の2年一ヶ月は

周囲の協力はヘルパーさんなどを除けば孤軍奮闘に等しく
認知症もあって地獄絵図だったといいます。



それでも若々しさを失わず
お母様を看取ることが出来たのは

(初めてお逢いした時とお待ち合わせの時とでは見違えていました)

気持ちが落ち着いて
すやすやと眠ってくれているお母様からしばし離れ

同窓会へ着ていったドレスをクローゼットから出して壁に掛け
南部鉄器の鉄瓶でお湯を沸かし

ドリップコーヒーを飲みながらドレスを眺める。



ドレスを出して
お湯を沸かして
コーヒーを飲む

ささやかなりし30分ほどのほんのひとときが
日々の中にあったからだと話してくれました。



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【シリーズ】 『がん』をかんがえる
http://ippunkan.blog.fc2.com/blog-category-64.html

末期がんと判った父と駆け抜けた約4ヶ月
救急病院から転院した緩和ケア病棟でのことを思い出し

ぼくは、ひろこさんに話していました。



緩和ケア病棟へと転院してからの父は

変な話ですが
もう治療をしていないにも関わらず

顔の色艶が良くなってきました。



当時のことを日記にこう書いています。



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11月1日(水)病室を訪ねた折、入り口のところにあるポンプ式のアルコール消毒液を手に取ろうとしてふと見たお隣さんのネームプレートがありませんでした。

前の病院で個室が空くのは
① 重症化を脱して大部屋へ
② 転院
③ 亡くなった

ここでは③のみ。
『そういう場所だったな』想いをあらたにしました。

いくら父の状態が良くても勘違いしてはいけない。やるべきこと、やりたいこと、やれることを先延ばしにするなよと釘を刺されているように思いました。




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冷静に分析して書いていますが
実際はかなり凹むわけです。



緩和ケア病棟とは

婚約者を亡くしたときのような不慮の事故など突然の別れではなく
時間を掛けてお別れの準備をしていける場所ですが

『やはりいつかはお別れの時期が来る』

状態の良さに勘違いしているところへ
そういった現実を否応なしに突きつけられると

いくら頭では判っていても
胸が押し潰されそうになりました。



こんな重苦しい想いを話せないのではないのですが
愛するパートナーがハグして迎えてくれるおうちには
出来れば持ち帰りたくない。



病院の一階に
コーヒーなどバラエティ豊かなラインアップが楽しめる
紙コップで飲める自販機がありました。



ぼくはそこで AGF の抹茶ラテを買い

庭園というほどではないのですが
ベンチに腰掛け外を眺め
抹茶ラテをちびちび飲む

そんなほんのひとときが楽しみでした。



一杯80円。
10分から15分という時間。



飲み終えて病室へ戻ったり
病院を出るときの足取りは
こころとともに軽かった。



ささやかでしたが
病院を訪れた折にこの時間があったからぼくは
逝く父と向き合えたのだと思います。



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たった一日悩みを忘れていても問題は解決しない。
単に問題を先送りしているだけじゃないか。
現実を直視せずに問題を先送りにしているだけ。



鋼のメンタルを持つ強き人は
こうした生きかたを選ばれたらよいでしょう。

お持ちのハイスペックな能力を存分に活かし
困難な問題を次々に解決へと導かれたらよいでしょう。



でも、『先送り』ってそんなに悪いことなのでしょうか。
ぼくはそうは思いません。



『先送り』とは、言い換えれば『やりすごす』です。
『未解決』とも、『逃げ出す』とも違います。

艱難辛苦に向き合える力を蓄えるということ。
一歩踏み出す力を充電すること。

やりすごすことで、妙案が浮かぶことだってあります。



お気に入りのアーティストが唄う3分48秒。
これを励みに一週間生きてきた連続ドラマの1時間。
貸し切りのようなその日の最終で観る2時間の映画。

真っ昼間みんなが働いている時に観る非日常の2時間の舞台。
往復2時間の通勤時間でちょっとずつ読みすすめる小説の至福。
45分の休憩でランチに何処へ行こうか迷う楽しみ。

出張帰りの新幹線ホームで遠距離恋愛の恋人とハグした3分。
やかんでお湯を沸かし湯気を見つめる5分。
烏の行水のお風呂でぼぉっと天井を見上げる1分。

摩天楼の谷間から見上げる青空の10秒。
反対側のホームに見つけるいつもの人の20秒。
急ぎ足で向かう途中ガラス越しに見るいつもの人の3秒。



『ほんのひととき』とは
そんな力を秘めているのだと思います。







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