白色の自己主張

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花咲く春にあう

白色の自己主張
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photo credit:kanon_7 via Flickr (license)



白色の自己主張 ~ 何色にも染まるたおやかさ 染まらない凛凛しさ ~



                    *



                  359通目



                    *




貴美香:ねぇ、せっちゃん。
せっちゃん:はい。

貴美香:子どもを産むっていうのはあれかねぇ、痛いんかねぇ。
せっちゃん:ふっ。先生。

貴美香:

だぁってぇ、あたし子ども産んだことないも~ん。
ほほほほ・・な~んて。
人の子ども取りあげとる間にこの歳になってまった。

せっちゃん:これからだって。
貴美香:旦那がおらん。

せっちゃん:ふふ。
貴美香:ふふふふふ。

貴美香:

ほやけど、いぃ仕事や。
み~んなが喜んでくれて、泣かれるほど喜ばれる仕事って他にある?

せっちゃん:

はい。
わたしも、助産婦で良かったと思ってます。

岡田医院 産婦人科医 岡田貴美香(おかだ きみか)
NHK連続テレビ小説『半分、青い。』第1週『生まれたい!』第3回
http://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/




                    *



世界でたったひとりの人のために
世界で一冊だけの絵本を手創り。



絵本工房 心の温度 +2℃ で
http://ippunkan.blog.fc2.com/blog-category-8.html

物語
ことば
イラスト
装幀
製本まですべてひとりで手掛け

18歳からの25年間で
ご縁のあった方たちに

100冊以上贈ってきた。



そのなかに、創作人生で初めて手掛けた仕掛け絵本がある。
忘れられない一冊。



                    *



地域の中学校へ進学することを夢見て院内学級で学び
ファッションモデルになることを夢見て闘病生活を送る
『せいらさん』へと贈った絵本。



既にご縁のあったお母様を交え出逢ったとき
おにいちゃんが居ない彼女はぼくのことを初対面で
まるでほんとうのおにいちゃんのように慕ってくれた。



妹が居ないぼくもまるでほんとうの妹のように
初対面とは思えないくらいに深い話までしていた。



そんなせいらさんが話してくれた夢を
微力ながら後押ししてあげたいという想いがある一方

軽々しく
医者でもないぼくが

『だいじょうぶ、きっと治るよ』

なんて言えなかった。



努力が報われないこともある。
夢が叶わないこともある。

それなのに

『努力は必ず報われるよ』
『夢は必ず叶うよ』

現実を知っているのに『必ず』なんて
嘘くさくて言えなかった。

リップサービスでも嫌だった。



なにかことばを贈りたいけれど
ボキャブラリーは貧弱。

なにか紡げたとしても
どうにもふわっふわしてしまう気がして贈れずにいた。



応援したいけれど

『がんばれ』
『負けるな』

なんて口が裂けても言えない。

そんな応援は息苦しい。
暑苦しい。



どうしよう?
ぼくになにができるだろう?

悩んで
悩んで

絵本に想いを託すことにした。



物語のチカラを味方にして。



                    *



せいらさんは以前

ライトアップされた世界遺産
モン・サン=ミシェル修道院を空から眺めてみたいという夢

東京ガールズコレクションに
ファッションモデルとして出たいという夢

病気を治して地域の中学校へ進学したいという夢を
『おにいちゃんになら』ぼくに話してくれた。



その想いとぼくの想いを絵本に込め、こんな物語を紡いだ。



                    *



消灯時間が来て
窓際のベッドから夜空を眺めていると
澄みきった空で煌めく星たちがせいらさんを呼んでいる。



夜空をカンバスに

『行こう』

星たちがメッセージを創って招待してくれている。



『わたしに招待状?』



窓を開けると身体がふわふわっとして
ピーターパンのように空へと舞いあがった。



メッセージは

『ようこそ』

へと変わり、流れ星さんがアテンド。



流れ星さんと手をつないで向かった先は
東京ガールズコレクションの会場。



ゲストとして出演することが決まっていて

出演するモデルさんたちとともに迎えてくれた
メイクさんやスタイリストさんが

せいらさんをスタイリングしてくれた。



そして
今まで雑誌やテレビでしか見たことがなかったモデルさんたちとともに
憧れのステージへ。



以前見た CM 『姉妹のファッションショー』みたいに
廊下で練習したモデルウォーキングでランウェイを颯爽と歩き
https://www.youtube.com/watch?v=FiDc9GxyLh0

すぐ隣に居るモデルさんの声も聞こえないくらいの
大歓声と拍手の余韻に包まれながら

流れ星さんにアテンドされてふたたび空へと舞いあがった。



流れ星さんと手をつないで向かった先に見えてきたのは
ライトアップされた世界遺産モン・サン=ミシェル修道院。



きょうの夜空は、せいらさんのために貸し切りだ。



以前見たテレビ番組『世界!弾丸トラベラー』で

モデルの長谷川理恵(はせがわ りえ)さんが
二人乗りの小型飛行機で見たみたいに空から眺めるモン・サン=ミシェルは

まるで宝石箱のようだった。



その光景を

心のアルバムに大切にしまい
流れ星さんと手をつないで病院に帰ってくると

ベッドがきれいに片付けられていた。



あれ?
部屋を間違えたのかな?



でも、何度見ても自分の病室。
さっき開けた窓もそのままだ。




えっ?
わたし、死んじゃったの?
だから、空飛べたんだ・・・




流れ星さんが囁いた。




違うよ。
せいらちゃんは、夢を叶えたパワーで病気をやっつけちゃったから退院したんだよ。




エンディング



パパ
ママ
せいらさん

3人が一緒に帰ったおうちの扉の向こうには
本物の桜の花びらをふんわりとしのばせ

取っ手の付いた扉を開くと
桜が出迎えてくれる仕掛け絵本にした。



3つ目の夢

退院と
中学校入学を

お祝いしたいとの願いを込めた。



そしてラストは
桜並樹の向こうに学校が見える一本道。



パパ
ママ
せいらさん3人が

入学式を迎えるために歩いて行く後ろ姿を
仕掛け絵本で立体的に表現した。



                    *



実は

仕掛け絵本はこのときまで
一度も手掛けたことがなかった。

でも

せいらさんのために
どうしても取り入れたかった。



ライトアップされた世界遺産モン・サン=ミシェル修道院を空から眺める場面。
東京ガールズコレクションのランウェイを颯爽と歩く場面はもちろん。



だから

絵本創り自体まったくの独学ではじめたこともあり
仕掛け絵本もとんでもなく非効率だけれど

独学で学んだ。



『紙の魔術師』と評されるロバート・サブダさんをはじめ
http://wp.robertsabuda.com/

創作のヒントになる仕掛け絵本や
お気に入りの仕掛け絵本をどっさりと買い込んできて

分解に次ぐ分解。



どんなパーツでできているのか
どんな仕掛けで動くようになっているのか

仕組みを学び
隅々まで研究し

分解したものを復元し
自作して再現し

創り手の想い
手法
アイディアを

敬意を払いながらも貪欲に吸収していった。



                    *



イラストだけでなく仕掛け絵本を取り入れることにしたために
約束していた完成予定の日からかなり遅れてしまったけれど

直接せいらさんに手渡すと

待ちに待ったとばかりに
笑顔いっぱいに

絵本を開いてくれた。



何度も
何度も

歓声をあげながら
夢中になって

読み返してくれた。




のぽぽん(絵本のライフワークを行うときのぼくのニックネーム)がこんなにもステキに創ってくれたんだから、きっとなれるよね。

なりたいじゃない。
わたし、なれる。

なれる。
なれる。




エンディングの仕掛け絵本のところを眺めながら

言い聞かせるように
おまじないをかけるように

力強く頷いていた。



                    *



眼には光るものがあった。



                    *



よのなかには、『ありがとう』と言ってもらえる仕事がある。
お客様が笑顔になれる仕事がある。



でも、ぼくの流転の職歴の中では片手でも余るほどだ。
思い出すことさえ難しい。

できて当たり前
やって当たり前

そう評価される仕事の方が多かったから。



『泣かれるほど喜ばれる仕事』



そんなものには本業では巡り逢えなかった。
生涯出逢うことなんてないのかもと思った。



初めてのことだった。



                    *



遠く離れた名古屋から
そっと見守り続けること一年。

お母様とせいらさんから
お便りをいただいた。



同封されていた写真のせいらさんは
はじけるようないい笑顔だった。

『人ってこんなにも変わるんだな』
まるで花が咲いたようだった。



胸元にはぼくが贈った絵本が
愛おしそうに抱きしめられていた。



開いた手紙から、春の足音が聴こえてきた。



3月 せいらさんは退院する。

そして
サクラサクとき

地域の中学校へ進学する。



                    *



三年前ぼくは、ブログにこんな出逢いを綴っていました。



3月も終わりかけた頃

ご両親とせいらさんから
中学校の卒業式の写真と

4月4日に執り行われる
高校の入学式への招待状が届きました。



『家族みたいなものだから是非』とご両親。
『おにぃちゃんだもん』とせいらさん。

名古屋は桜吹雪でしたが
せいらさんの街は満開の桜が迎えてくれました。



中学校の入学式に招待されて以来の再会。



中学入学
中学卒業
高校入学
そして高校卒業

あまたの人にとっては通過点。
通過点ではない人が居るなんて考えもしないでしょう。



真新しい制服に袖を通したせいらさんを見つめながら
彼女がどんな想いでこの日を迎えたのか馳せていました。



                    *



卒業祝いを渡せていなかったので
入学祝いも兼ねてプレゼントを渡しました。



TVアニメ『恋は雨上がりのように』を互いに観ていて
http://ippunkan.blog.fc2.com/blog-entry-412.html

手紙をやりとりしながら
熱く語り合っていたので

恋は雨上がりのように キャンバスアートB
http://www.p-animestore.com/?pid=127463883

を。



もちろん、中身な内緒です。



                    *



式後ご両親を交えて食事をし
『街ぶらデートがしたい』と言うので付き合って

『今度は横濱デート』
http://news.noitamina.tv/after-the-rain/article/20180219_yokohama_city.html

『(実写版映画の)試写会当たったら一緒に』
http://info.toho.co.jp/koiame_ks/top.html

約束をしてさよならした。




帰りの新幹線を待つホーム。
ガラケーにメールが届きました。
包みを開けたのでしょう。



『!』



返事を贈りました。



                    *



『!』



                    *



雨上がりのようであれ。
『はじめまして』に溢れた道であれ。
歩く花のようであれ。



そんな人生であれ。
泣かれるほど喜ばれる仕事に出逢わせてくれた君に。




Photo:A row of cherry trees. 桜並木 By:T.Kiya
Photo:A row of cherry trees. 桜並木 By T.Kiya


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