甘味 時々 ビター - 白色の自己主張
~ 何色にも染まるたおやかさ 染まらない凛凛しさ ~

甘味 時々 ビター

Photo:Two ways out of darkness By:Leonorah Beverly
Photo:Two ways out of darkness By Leonorah Beverly



     白色の自己主張 ~ 何色にも染まるたおやかさ 染まらない凛凛しさ ~



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此処は、店自体が甘味みたいなものだと思っています。

仕事中に一息つきたいと思った時、手を伸ばせば其処にある一杯の珈琲や甘いもの。
そういったものと同じなんじゃないかと思うんです。

甘味も珈琲も無くても生きていける。
それがあると、ちょっとだけホッと出来る。

そんな場所でありたいと思っています。

和風喫茶 鹿楓堂(ろくほうどう)店主
スイ(東極京水 とうごく きょうすい)

TVアニメ『鹿楓堂よついろ日和』第一話『喫茶 鹿楓堂へようこそ』
http://rokuhoudou-anime.jp/



親愛なる CoCoさんに

ロブ・ゴンサルヴェスさんが描くトリックアート
https://www.demilked.com/magic-realism-paintings-rob-gonsalves/

リンク先にある11番目の作品『変わる風景』が特に好きで、眼に映る出来事に惑わされそうになった時、この作品をひとり静かに見つめます。


ドラマ『いつまでも白い羽根』には一流大学の法学部を卒業後看護学校に入り、次々に医師と関係を持ち、その様子をカメラマンに隠し撮りさせる遠野藤香(とおの ふじか http://tokai-tv.com/shiroihane/chart/)という女性が出てきます。

ドラマ『逃亡花(のがればな)』には、夫を殺され、自身にかけられた夫殺しの冤罪を晴らすため逃亡。夜の街で売春を繰り返す小園井咲子(こそのい さきこ http://www.bs-j.co.jp/nogarebana/cast/)という女性が出てきます。

『男の医者を食い漁るふしだらな女』『逃走資金を稼ぐために体を売っている』一見するとそんなレッテルを貼りたくなりますが、遠野はできるだけ多くの医師と関係を持つことで妹を手術で死なせた医師にいつか辿り着いて、その人のすべてを壊そうとしている。咲子は、犯人の手掛かり『女の能面の入れ墨』が背中にある男を見つけ出すため体を重ねています。


心療内科医 海原純子(うみはら じゅんこ)さんの毎日新聞のコラム『「聞けない」若者たち:新 心のサプリ http://www.umiharajunko.com/blog/archives/331』には、『判らなければ聞けばいいのに』といった言葉が出てきます。

海原さんは心療内科医ですから『なんでそんな簡単なことができないの?』とはならないのですが、多くの人はそう思うでしょう。聞くに聞けないのは『勇気がないから』『そんなことも知らないのかと思われるのでは』ということだけでなく、虐待を受けていたりいじめに遭ったりして人の顔色をいつも窺っていた人にとっては途轍もなくハードルが高い。『すみません』声を掛けることにとんでもなく馬力がいる。

ぼくがそうでしたけれど、聞けなくて孤立したり、力尽きたり、聞けなくて仕事をクビになったことがある人が居るなんて思いもしないでしょう。


ドラマ『噂の女』の糸井美幸(いとい みゆき http://www.bs-j.co.jp/uwasa/cast/profile.html?trgt=s_itoi)はその美貌や愛嬌の良さから見る者を虜にし、交際した企業のオーナーや資産家が次々に謎の死を遂げていきます。あれやこれやと想像をかきたてられますが、美幸を取り巻く男女が口にする噂のたぐいは、どれも怪しげなものばかり。誰も彼女の素性は掴めません。『美幸』という女性はひとりなのに、まるで何人もの同姓同名の女性が居るようです。


久しぶりに逢って、話して、前にCoCoさんのことをブログに書いていたなぁと思い出しました。


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ライフワークとして始めたファッション初心者専属のパーソナルスタイリング業『パーソナルスタイリング * モテハピ *』。ファッションのチカラを味方にし、まずは自分となかよしになることから始め、同性・異性モテ → 社会モテへの架け橋となれるよう老若男女問わずお手伝いをしている。


今でこそお金を産むようになったけれど、当初はただただ好きなことだからという一心で取り組んでいた。そうした熱意というか想いが伝わったこともあり、評判が評判を呼び、人が人を呼んでいった。ある時、新しいお客様ができた。嬉しかったのだけれど、この出逢いが後にちょっとした問題を引き起こす。


最初はお試しから始まり、何度かスタイリングさせていただくなかでぼくの感性を気に入ってくださり、年間契約をいただくまでになったが、ちょうど時期を同じくして根も葉もない噂を耳にするようになった。

このお客様は以前別のパーソナルスタイリストさんに長いことスタイリングを頼んでいたが、評判を聞きつけて旧知の仲だったスタイリストさんからぼくにあっさりと乗り換えた。

それがどうも気に入らなかったようだ。

お客様は、女性。ぼくは、男性。そうした関係に目をつけ、恋愛感情を利用して言い寄っただの、このスタイリストさんのことをあれこれ吹聴して横取りしただの、根も葉もない噂を広めていった。

あまりにも馬鹿げた話だったので相手にしないのがいいと思ってしばらく放っておいたが、沈静化するどころかどんどんエスカレートしていった。口伝えでは飽き足らず、インターネット上にまで広がった。ソーシャルの時代だからあっという間に拡散した。

ぼくからすれば言われていることや書き込まれていることは根も葉もないことで、あまりに馬鹿馬鹿しいことで、相応の年齢に達したおとながこれを鵜呑みにするなんて知性が疑われることで、恥ずかしいことだろうと思った。

だから、あえてなにもしなかった。

相手にすることは、脳味噌の無駄遣い、時間=命の浪費。
相手にすることは、相手に力を与えるだけだと思ったから。


でも、哀しいことに、残念なことに、鵜呑みにしてしまう人がお客様、友人・知人の中から出た。
ぼくから離れていく人が、お客様、友人・知人の中から出た。

その後ろ姿を見て、なにもしなかったのが本当に良かったのかどうか。
心の中が迷いでいっぱいになった。

『信じてたのに』

去っていく人の言葉が心に棘として残った。
疑いの眼差しが、いつまでも瞼の裏に残った。


そんな時だった。
心強い味方が現れたのは。


パーソナルスタイリストになるためぼくは、働きながら夜間の専門学校に通って勉強した。ただ好きなだけでもできないことはないけれど、もっとファッションのことを深く学んで、スタイリングにも奥行きや深みを持たせたいと思ったからだ。

そこで同じような志を、同じような夢を持つ同世代の仲間と出逢えた。
それが、CoCo (ココ)さんだった。


専門学校の門を叩いた時、ぼくらは30代だった。

『この世界はね、10代・20代が中心なの』
『今からじゃもう遅いわ』
『諦めて別の道を探した方がいい』

そんなつれないひとことを専門学校を訪ね歩くたびに浴びた。

一度や二度じゃない。
何度も。
何度も。

でも、お互いしつこく食い下がり、なんとか入学に漕ぎ着け、働きながら寝食を忘れて勉学に、実践に励み、一日も授業を休むことなく、一度も課題を遅れることなく卒業した。そうした苦楽を共にしてきた仲だから、いつしか同級生の仲を超えて同士みたいな存在になっていた。


根も葉もない噂は、彼女の耳にも入っていた。
馬鹿馬鹿しい噂は、彼女の眼にも映っていた。


実名だったからだ。
一番聞かれたくない人でもあった。


そんなぼくの苦衷を察してくれたのか、彼女からランチに誘われた。11時半。おうちの近くの駅に車で迎えに来てくれて、CoCoさんオススメの和食が美味しいお店へと出掛けた。


彼女はテレビや雑誌など業界で活躍する道を選び、ぼくは一般の方向けのパーソナルスタイリストになる道を選んだこともあったし、お互い卒業以来忙しくしていてなかなか逢えずじまいだったから、近況や仕事への想いなどとうとうと語り合った。

気がつくと、時計は14時を指していた。
でも、まだまだ話し足りない。

『このあと予定ある?』お互いこの日も翌日もたまたまオフだったこともあり、『まだ話し足りないよね』『お店替えようか』今度はぼくオススメのカフェに移動して、そこでもまた話し込んだ。


気がつくと、時計は18時を指していた。
でも、まだまだ話し足りない。

『まだ話し足りないよね』
『お店替えようか』

今度はCoCoさんオススメのイタリアンのお店に移動して、そこでもまた話し込んだ。


気がつくと、時計は21時を指していた。
でも、まだまだ話し足りない。

『まだ話し足りないよね』
『お店替えようか』

今度は移動する時間ももったいないからとすぐ近くにあったファミリーレストランに移動し、そこでもまた話し込んだ。


気がつくと、時計は日付をまたいで3時20分を指していた。


さすがに『そろそろ帰ろうか』となってファミリーレストランの駐車場で精算すると、飲食の代金よりも駐車料金の方がはるかに高くて、『こんなの初めて』『ありえないでしょ』真夜中だったけれど、駐車場でふたりで大笑いした。


久しぶりに大声で笑った気がする。


おうちまでCoCoさんの車で送ってもらい、『ありがとう。気をつけて帰って』助手席を降り、ドアを閉めようとしたら、彼女が半身助手席の方へ乗り出してこう言ってくれた。


『いつだって100%味方だから。じゃあね』


CoCoさんとこの日逢って別れるまで、根も葉もない噂のことも、馬鹿馬鹿しい噂のことも、インターネット上に書かれた罵詈雑言や誹謗中傷のことも、ひとことも話題にのぼらなかった。あえてそうしようということではなかったと思う。気を遣っているという空気を出さず、それが自然にできるのが嬉しかった。


ひとりでも無条件に理解してくれる人が、ひとりでも100%味方になってくれる人が居ることが、孤立無援かと思っていたぼくにとってどれほど嬉しかったことだろう。


だから、こう心に秘めている。


ないほうがいいのだけれど、CoCoさんがもしピンチに陥ったなら真っ先に駆けつけよう。そして、今度はぼくがへなちょこだけれど『いつだって100%味方だから』そう言ってあげられたらと。


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『いつまでも白い羽根』に


アイツと話してるとなんか泣きたくなる。
だから、泣くのが嫌だから、怒るんだ。


幼馴染みのことが好きなのに、あまりに近くに居すぎたせいで素直になれず、いつも喧嘩腰になってしまう看護学生 山田千夏(やまだ ちなつ)のことばがありました。


CoCoさんが重なりました。
『いつだって100%味方だから』に代えて。


TVアニメ『メガロボクス』ED Theme Song
かかってこいよ NakamuraEmi https://youtu.be/st4ZoMhFiVY


甘味 時々 ビター
ヒロより。

2018.4.24