~ 何色にも染まるたおやかさ 染まらない凛凛しさ ~

蝶の道行き





You are the reason why I write. あなたがいる、それがわたしの書く理由。
Donna Jo Napori (ドナ・ジョー・ナポリ)http://www.donnajonapoli.com/about.html



     白色の自己主張 ~ 何色にも染まるたおやかさ 染まらない凛凛しさ ~



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親愛なる きらりに

『バタフライ・エフェクト』という言葉。
聞いたことありますか?

無料動画サービスGYAO!で見逃し配信を見ていたら、『イッキ見できるドラマ』に『TBS 日曜劇場 JIN - 仁 -』があるのを偶然見つけ、そのまま最終話まで観てしまいました。キーフレーズとして何度か出てきた言葉です。


現代から江戸時代にタイムスリップした脳外科医 南方仁(みなかた じん http://www.tbs.co.jp/jin2009/chart/)は、百年以上もの未来、現代の医療技術で江戸時代の怪我や病に苦しむ人たちを救っていいのか思い悩みながらも、目の前に居ながら医師としてなにもしないわけにはいかないと持てるすべてを注ぎ込み、命と向き合っていきます。

ですがそれは、仁が江戸にタイムスリップしなければ亡くなっていたかもしれない人。
冷たい言い方ですが、亡くなったからこそその先に産まれる出来事や命もあるのです。

命を救うことは、出逢うはずの人を出逢わなくしてしまうのではないか。
産まれるはずの人を産まれなくしてしまうのではないか。
ひいては歴史を変えてしまうことになるのではないか。

蝶の羽ばたきが、地球の裏側で嵐を引き起こす。
かつて恋人から聴いたバタフライ・エフェクトに、仁は苦悶するのです。


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『無限の樹形図』という言葉。
聞いたことありますか?
ドラマ『最上の命医』#1『子供を救う命のメス 奇跡の小児外科医!』で、初めて知った言葉でした。


MSA(=Michael Shanoff Award 最優秀若手医師賞)を受賞するものの名誉や権威などにはまるで興味がなく、『日本に小児科医を増やしたい』とアメリカから帰国し、私立総合病院平聖中央病院に赴任した小児外科医 西條命(さいじょう みこと http://www.tv-tokyo.co.jp/meii/cast/index.html)は、小児外科のない院内で風当たりの強さにめげることなく赴任早々に難手術を見事成功させ、副院長(=小児外科を廃止した張本人)が首を縦に振らないなか、かつてあった小児外科復活への道筋を創り始めます。

一方で命が執刀した手術に助手として入った研修医 瀬名(せな)マリアは、小児外科を志望しながらも現場の厳しさ・難しさを目の当たりにして自信をなくしていました。

そんな瀬名に、命が院内の庭園で語りかけました。



(庭でおおきく育った樹木を見上げながら)

命:ねぇ、無限の樹形図って知ってる?
瀬名:無限の樹形図?

命:

うん。きょう瀬名さんは、はやとくんひとりを救っただけじゃない。はやとくんがおおきくなって、結婚したらこどもができて。そのこどもがまた次の子を産んで。きょうはやとくんから無限の樹形図のようにつながっていく人たちを助けたんだ。僕はね、小児外科っていうのは未来の命も救ってるって思ってるんだ。

瀬名:

わたしもそう思ってます。
だからわたしも、こどもたちを助けてあげたいって。

命:だったら、一緒にやろうよ。
瀬名:でも、この病院には小児外科が・・

命:今回みたいに僕のホームページを見てやって来る患者さんから始めればいい。
瀬名:そんなこと、副院長が許してくれるでしょうか。

命:

どこの病院に行ったって、障害はつきもんだよ。
僕のホームページを見てやって来る患者さんは、他の病院では治せない患者さんが対象だから。

瀬名:そんな患者さんばかり来たら・・

命:

全部治すよ。
僕たちで全部治せばいい。

(そう言い置いて樹木下から去る命の背中を見つめる瀬名)
(琴線に触れ、押し留めていた想いが溢れた)
(勇気を振り絞って口にした)

瀬名:

わたしにも・・
わたしにもできるでしょうか。

命:きっとできるよ。



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先日のこと。

きらりがひきこもりから何日ぶりかに外へ出てコンビニエンスストアへと行く道すがら、制服姿の中学生の女の子二人組から声を掛けられた。このあたりの土地に不慣れなようで、地下鉄の駅を尋ねられると、きらりはすぐ近くにバス停があること、同じ方角にこれから行くコンビニがあるから途中まで案内しましょうかと提案。

女の子たちは歩いていくとのことで、最初は『女の子の足だと、30分は掛かるけどいいの?』気に掛けたものの、それでも彼女たちが歩いていくならと、だったらすぐそこの交差点を左に曲がって、道なりにずぅっとまっすぐ。角にauのお店がある交差点に出たら、そこも真っ直ぐ行くと駅に着くと教え、気温が30度超えで暑いから気を付けてねと言葉を添えて、ふたりで話しながら駅に向かいたいだろうと思って、自分は先にコンビニへと出掛けたと話してくれましたよね。


不慣れな土地で不安があるなか、見ず知らずの人に声を掛けるのって結構、いやかなりかな、勇気が要ることです。歩きスマホに夢中になって、聞こえているのに、あからさまに無視する人も居ますからね。あれ、小心者の人は結構傷つくのです。

そんななか自分の用事を一旦脇に置き、快く立ち止まって、彼女たちの気持ちをないがしろにすることなく道案内をし、最後には気遣いも添えられる。きっと女の子たちの心には、一服の清涼剤のように良い感情・幸せな記憶が残ったのではないでしょうか。


その良い感情・幸せな記憶が、きょうあった嫌な出来事を吹き飛ばしてくれたかもしれない。それぞれのおかあさんやおとうさんに、弟や妹、兄や姉にやさしくできたり、駅まで向かうふたりの会話が弾むきっかけになったかもしれない。

彼女たちがあの後出逢うまだ見ぬ誰かの笑顔につながり、そのまた誰かからさらにまだ見ぬ誰かの親切でもしてみようかなという気持ちにつながり、その親切された人の想いが回り回って地球の裏側の病気に苦しむ人を救ったりもする。

そんなことを想像すると、この世界はまんざらでもないかもしれません。鋭い言葉がびゅんびゅん飛び交い、喧しいよのなかですが、ほんのちょっと視線をずらすだけで、目を向けるだけで、ほっこりするような出来事がそこにある、それがこの世界。

もちろん良いことばかりではなく、悪いこともあるかもしれません。
でも亦その先には、良いことが待っているかもしれません。


起点となるなら、きらりはどちらがいいでしょうか。


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あの中学生の女の子たちと出逢い、ぼくがきょう書いたようなことをお返事してから、ちょこちょこ世界に溢れている素敵なことを贈ってくれますよね。


気づいてますか?
不安に押し潰されそうだったひきこもりからいつのまにか脱していることを。


気づいてますか?
『なんとかしなさい』親や先生から言われなくてもなんとかしちゃってる自分が居ることを。


きらりという蝶の羽ばたきは女の子たちだけでなく、ぼくにも影響しているのです。
その道行きが、こんなにも心温まる気づきをもたらしてくれたのですから。


ヒロより。
2018.7.2



恐怖と不安は、この世界に混乱をもたらす。
だがときにそれは、物語(フィクション)を紡ぐための大いなる原動力となる。

Sir Arthur Dick

NHKプレミアムドラマ『アイアングランマ 2nd SEASON』
Episode 5『百万年の誓い』https://www.nhk.or.jp/pd/irongrandma2/