白色の自己主張

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白色の自己主張
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You are the reason why I write. あなたがいる、それがわたしの書く理由。
Donna Jo Napori (ドナ・ジョー・ナポリ)http://www.donnajonapoli.com/about.html



     白色の自己主張 ~ 何色にも染まるたおやかさ 染まらない凛凛しさ ~



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わたしね、今まで正しい選択をしようってずっと思ってた。

アイドルとして間違ってないか。
ネットで叩かれないか。
事務所の人に怒られないか。

いっつも気にしてた。

でも、正しい選択ってこの世にあるのかな?
・・・たぶん、正しかった選択しかないんだよ。

なにかを選んで。
選びつづけて。
それを一個ずつ正しかったものにしていくしかないんだよ。

だからわたしは、武道館には行けない。
彼を選んだことを、正しかった選択にしてみせる。



武道館のステージに立つことを夢に活動する女性アイドルグループ NEXT YOU(ネクストユー)。

地道な活動が実を結び念願の武道館ライブが決まるが、メンバーの碧(あおい)と愛子(あいこ)に恋愛スキャンダルが発覚。武道館に立つには恋愛をあきらめるよう事務所から求められたふたり。

武道館か。
卒業(=恋愛)か。

揺れるグループではあるが、全員で武道館に立ちたいと、リーダー波奈(はな)から今一度結束しようと武道館前に集まるようメッセージが届くなか、武道館を見下ろすラウンジで落ち合った碧が愛子に想いを告げる。

Juice=Juice 主演ドラマ『武道館』#8(Live8)
http://www.fujitv.co.jp/budokan/index.html






現代から江戸時代にタイムスリップした脳外科医 南方仁(みなかた じん http://www.tbs.co.jp/jin2009/chart/)は、百年以上もの未来、現代の医療技術で江戸時代の怪我や病に苦しむ人たちを救っていいのか思い悩みながらも、目の前に居ながら医師としてなにもしないわけにはいかないと持てるすべてを注ぎ込み、命と向き合っていく。

タイムスリップ後間もなく江戸を襲ったコレラに焼酎による消毒、衛生管理の徹底、この時代にあるもので創った経口補水液での脱水症状緩和、青カビから歴史上まだこの世に存在していなかった抗生物質ペニシリンを創り出して立ち向かい、撲滅に一役買ったこと。

その後も豊富で正確な医学知識に基づく創意工夫と江戸職人の協力で生み出された医療器具の整備。内科医療が中心で手術など考えもつかない時代にエーテルを使った麻酔を考案し、卓越した外科技術で度肝を抜く。

コレラ撲滅に共に取り組んだことで人柄に深く惚れ込み、西洋医学を教授する江戸幕府公認の医学校 西洋医学所頭取 緒方洪庵(おがた こうあん)に出入りを許された仁は、医学所の蘭方医たちに医療発展のためにと惜しげもなく知識や技術を伝えていった。

だがあまりにも神がかった仁の知識と技術が、若き蘭方医 佐分利祐輔(さぶり ゆうすけ)の焦りを。
緒方と仁の急接近と台頭を快く思わない医学所内の派閥争いによる罠を招いてしまう。

遊女の逃亡を阻む御歯黒溝(おはぐろどぶ)に沿う一帯で客を取る最下層の女郎がある日、めった裂きにされて殺され発見された。下手人は未だ発見されていないが、緒方一派に反発する医学所内の人物により握り手に佐分利の名が彫られたメスが女郎の部屋に置かれたうえ、御歯黒溝で佐分利を見かけたという証言までもが奉行所に訴えられていた。

事の真相を確かめるため、役人が医学所を訪ねてきた。緒方、西洋医学所頭取助 松本良順(まつもと りょうじゅん)、西洋医学所の創始者で取締役の伊東玄朴(いとう げんぼく)、そして仁が同席の下調べが始まった。

TBS 日曜劇場『JIN - 仁 -』第六話『生きてこそ…』



(白い布の上に置かれた血がこびりついたメスを見つめる佐分利)

役人:

もう一度聞く。
このメスはお主の物であるな?

(重苦しい時間が流れた)
(隠し通せぬと観念し土下座をして詫びる)

佐分利:

・・腑分け(=解剖)をしておりました。
これを、お読みください。

(胸元から出した文を同席している緒方に渡す)
(表には『佐分利先生』裏には『 つう』とある文)

佐分利:

その女郎の病を時々診ておりました。
薬礼持っていけぬ身の上故、死後腑分けをし、それで払ったことにしてくれと。
誓って、殺めたりはしておりません。

(読み終えた緒方から役人へと手紙が渡る)

役人:

近所の女郎からもつうが生前、通いの医者になにかの形で御礼をしたいと漏らしておったという証言も得ておるが。こういう次第であったか。

佐分利:はい。

役人:

遺体の傍に焼香した跡があったという。
あれもお主か?

佐分利:

はい。
葬式を出すわけにいきませぬので、せめてと。

役人:しかし人殺しではなかっとはいうものの、本来腑分けは御上に申し出たうえで行うもの。
松本:さりとて、取り立ててお沙汰になるようなことでも。

(隠居した身と口を挟むのを控えていた伊東だったが、苦虫を噛み潰すように口を挟んだ)

伊東:

御公儀の医学所の者が無断で腑分けを行ったとあっては示しがつかん。
誰かが責任を取らねばならぬということじゃ。

佐分利:

そんな・・熱心な医者なら、腑分けなんて隠れて幾らでもやってるやおまへんか。
まして墓荒らししたわけでもないのに、咎め立てされるなんて聞いたことおまへんで。

大体こうでもせんと腑分けなんか出来んでしょう。御上の許す腑分けは一年に二つ三つでっせ。そんなもんでどうやって医術学べいうんでっか。そんなんじゃ・・いつまで経っても南方先生の神がかった医術に追いつくことなんか出来やしまへんで。それでえぇんでっか。

(佐分利の必死の言い分など何事もなかったように事を進める伊東)

伊東:

・・・さて。
どうしますかな。

(言い終えると緒方に目を遣る)

緒方:

弟子の不名は、私の不名。
佐分利共々、身を引かせ

佐分利:

緒方先生!
私は医術の為にやったのでございます。
国の為、道の為。

(つうの文で疑いが晴れ、『はい』と返事をし、顔も晴れやかになった姿。己を省みることなく医術の為、国の為、道の為と叫ぶ姿に温厚な緒方が声を荒げた)

緒方:

お前の言う道とは、自分のためだけの道や。
道を拓くと言うならば、お前は堂々と腑分けはすべしと、そう叫ぶべきやったんやないか。

佐分利:そんなことやったって通るわけ

緒方:

玄朴先生も、私も、人殺し出ていけと石の礫を投げつけられながら種痘(広がれ種痘の輪!VS天然痘 緒方洪庵物語 http://www.e-manga.info/?p=758)という道を拓いてきました。いや、この医学所も、玄朴先生らが私財を投げ打って創ったもんや。

道を拓くということはな、自分だけの逃げ道を創ることやない!

(喝破した後の静寂のなか、緒方の静かな声が響いた)

松本先生。
玄朴先生。
残りましたる弟子と南方先生を、よろしくお願い致します。

(頭を下げる緒方に)

伊東:わかっておる。






川上未映子(かわかみ みえこ)さんが、作家としてのキャリアを重ねられるまでを振り返った『しんぶん赤旗 日曜版』のインタビューにこんな言葉があった。



10代半ばから、無数のアルバイトを経験。

「コンビニやチラシ配りなど、朝から晩まで働いて弟を大学にやりました。タフな10代をよく乗り越えたと思います。支えは文学。お金がなくても明るく生活していました」

24歳で歌手デビューするも成功せず・・・。

「大変だったけど、学びました。売れなくても、手を抜かずにやった感触は次の自分を応援してくれる。だから常に全力でやる必要があると。そうしないと、後で振り返った時、自分が信じられなくなる。アルバイトも、音楽も、全力で続けてきていまがある。全力であることが、生きていることと同義なのかな。いつも、これが最後の作品になるかも、という緊張感をもって小説と向き合っています」



『わたしらしく』とは、心の声に耳を澄ますこと。
『わたしらしく』とは、自分という素材を活かすこと。
『わたしらしく』とは、まっさらな砂浜に一番乗りで足跡を付けていくこと。


道を知っていることと歩くことは違う。
以前観た映画にあった。


わたし、わたし、わたしと周りが見えなくなっていないか。
わたし、わたし、わたしと傍若無人になっていないか。
わたし、わたし、わたしと応援してくれる人の優しさを甘やかしにしていないか。


『わたしらしく』ってなんかカッコイイ。
『好きなことを仕事に』ってなんかイケてる。

『わたしらしく』が都合の良い逃げ道になっていないか。
『わたしらしく』が口当たりの良い言い訳になっていないか。


過去の自分に応援される、誰かに応援されるよりも。
『わたしらしく』とは、そんな生きかたなんだと思う。


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