白色の自己主張

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熱さは、熱さが、人を傷つける。

白色の自己主張
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Photo:Beach Fever By:gartmann
Photo:Beach Fever By gartmann



You are the reason why I write. あなたがいる、それがわたしの書く理由。
Donna Jo Napori (ドナ・ジョー・ナポリ)http://www.donnajonapoli.com/about.html



     白色の自己主張 ~ 何色にも染まるたおやかさ 染まらない凛凛しさ ~



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親愛なる ジュリーに

先日カフェに行ったら、聞き耳を立てていたわけではないのですが会話が聞こえてきて、先輩と今春入社した社員さんなんだろうなと思う3人組が目に入りました。

しばらくすると説教に熱を帯びてきた先輩が、『会社は学校じゃねぇんだよ!』などと叫んでいます。あれですね、元ギャル男からベンチャー起業を志す『夢・恋愛・金・友情』をテーマにした熱いリベンジサクセスストーリーという触れ込みの同名ドラマ(https://drama-gakkoujyanee.abema.tv/)に感化されたのだろうと思いました、世代的にも。


『会社は学校じゃねぇんだよ!』

この言葉を聞きますと、少数精鋭且つ熱い想いを持った者だけがなにか途轍もない物事を成し遂げられると言わんばかり。そうした者だけが会社に必要だと言わんばかりに聞こえます。

学校のようなお友達感覚や教えて君を排除したいのでしょうけれど、それはまるで優れた者だけが生きることを許される優生思想のよう。ですが、意識高い系の少数精鋭を組織しても、その中でさらなる選別が行われ、序列が出来上がります。経営者思考を尊び、縁の下の力持ちを蔑む。競争が常だからです。

どうするのか。

そこでさらなる少数精鋭を組織しようとし、劣る者は、熱さについてこれない者は、どんどん選別されていくのですね。そうして出来上がったさらなる少数精鋭の、太陽のように熱いエリート集団がなにかを成し遂げるのかというと、そうはならないところがこの世の愛嬌のなさなわけです。威勢だけは良いベンチャーの大半が潰れていく理由ではないかと思っています。


少数精鋭、エリート、熱さは、脆い。


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『BG ~ 身辺警護人 ~』第5話『今度は絶対に守る!! 6年越し…涙の再会』に、こんな場面がありました。


サッカー日本代表のエースで、3年連続得点王に輝いたレグルス鎌倉からイタリアの名門ピエモンテFCに完全移籍する河野純也(こうのじゅんや)。

専属ボディーガードを長年依頼し、『ザッキー』の愛称で呼ぶ島崎章(しまざき あきら http://www.tv-asahi.co.jp/bg/cast/)を連れ、ファンの見送りを終えて空港内を歩いていると、ポルトの落ちる音が響いた。異変に気づいた島崎が振り返って見上げると、天井の鉄骨の組みが外れ、無数に、広範囲に落下してきた。

(移籍する河野のことを快く思わない卵をぶつけようとするファンも居て、何者かが移籍のチャンスを潰そうと目論んだのかもしれません。テロ対策など安全がどの施設より求められる場所で起こっていますから)

島崎が河野の傍を離れることは職務上も、契約上も許されない。だが、突然の出来事に逃げ遅れた女の子が視界に。島崎は迷わず女の子を守り、河野は直撃こそ免れたものの、床に跳ね返った鉄骨でサッカー選手の命とも言える足を負傷。この怪我によって引退へと追い込まれた。

島崎は責任を取って辞職。民間警備会社で工事現場の交通誘導員として働いていたが、華麗な経歴を知る自身も身辺警護の経験を持つ日ノ出警備保障社長 今関の命により、新設される身辺警護課に『新人』として復職。過去の悪夢と向き合いながらその腕を、経験を身辺警護に活かしていく。


あれから6年。

河野は『こどもたちにスポーツの喜びを』をテーマに活動する慈善団体代表を務めているが、それは表の顔。裏の顔は、元プロサッカー選手というネームバリューを活かして集められた多額の資金を横領する詐欺団体。夢半ばで引退に追い込まれ、荒んでいた時に面倒を見てくれたパトロンに指南され設立した団体だった。

そんな河野から島崎の元に名指しで警護依頼が入った。現役時代に集めた各国選手のグッズをイタリアで行われるチャリティーオークションに出品するため、盗難等に遭わないよう団体事務所のあるホテルから空港までの警護を頼んできたのだった。

だが実際は横領が発覚する前に海外逃亡するのが目的で、グッズが入っていると説明したスーツケースも中身は横領の証拠品。島崎に依頼したのは、6年前契約に違反して職務を放棄。それがために自分を引退へと追い込んだ負い目を持つことから、警察へ引き渡すことなく海外逃亡の手助けをしてくれるだろうと踏んでのことだった。

事実を知り、またしても契約に反した行動を取るのかと詰め寄られるが、島崎はすべてを明らかにして自首するよう説得。河野がホテルを出た後、部屋の解約手続きを担うと言っていたパトロンの手下らが部屋へ陥れるための証拠品を運び入れ、海外逃亡を果たした河野にすべての責任をなすりつける手筈が整えられていることも知った。

裏切りを知り、一旦は従う素振りを見せたものの、隙きを突いて逃亡。後を追う島崎。やがて辿り着いたのは、河川敷。こどもたちの声が響く、夕暮れに染まるサッカーコートだった。



(木製ベンチに腰掛け、かつての自分のようにボールを追いかけるこどもたちを見つめる河野。息を切らせてやってきた島崎を見つけると立ち上がった)

河野:俺に追いつけたなんて思うなよ。
島崎:今度は・・離れないって言ったはずです。

河野:さっき殴った時、俺にムカついてマジで殴ったでしょ。
島崎:・・はい。

河野:久々痛かった。
島崎:すいません・・


河野:息子さんに、サインボールあげたよな。
島崎:はい。 今でも大事に持ってます。

(いつかの空港での回想)
(待ち時間を使ってボールにサインする河野)

河野:ザッキー。これ、息子さんに。
島崎:えっ?・・すいません。

河野:頑張れって言っといて。
島崎:はい。

(離婚して息子と暮らすことになったが、難しい年頃でコミュニケーションに困っていた。でもこれでちょっといい関係になれるかもと、職務中だからと控えめに笑みが浮かんだ)


島崎:試合になると、緊張してしまってレギュラーになれないって言ってました。
河野:そっか・・

河野:一度、目をつぶってボールを蹴ってみるといいよ。
島崎:目をつぶって・・

河野:自分がなにも出来ないって判ったら、肩の力抜けるから。
島崎:はい。


河野:そろそろタイムアップかな・・
島崎:・・はい。


(警備会社の車、そして警察の覆面車両が到着した。連行される河野の姿にこどもたちが気づき、サインを求めるが警察に止められる。その姿に島崎がペンをこどもたちから受け取り、河野へと手渡す。サインに快く応じる後ろ姿を見つめながら、こどもたちにとってはヒーローのままであってほしいと願った)


(サインを終えた瞬間、容疑者となってしまった河野)
(警察車両へと乗り込む前、振り返って言った)

河野:

あの事故で怪我をしたから、俺は駄目になったんじゃない。本当は海外で活躍出来ないのが怖くて、怪我を言い訳に引退した。俺は自分の恐怖心に勝てなかっただけだ。だから・・俺の元を離れてこどもたちを助けたのは間違いじゃない。

最後まで送ってくれてありがとな。
じゃあな、ザッキー。



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熱さは、熱さが、人を傷つけます。

『会社は学校じゃねぇんだよ!』受け売りで言う人の全能感が。
とにかく熱ければなんとかなるという万能感が。
とにかく熱ければ夢を形にできるという幻想が。

『ジャニーズはトイレに行かない』
『女優は汗をかかない』

そんな都市伝説を信じている人のように映ります。

『立派な犯罪』
『演技派女優』
『実力派俳優』

そんなおかしな日本語のように映ります。


『無力』とは『力が無い』と書きますが、そうではないのですね。
言葉の摩訶不思議です。

自分がなにも出来ないと判るから、できることは高が知れているから、熱さだけではなんともならないから、『助けてほしい』と言える。『手伝ってほしい』と頭を下げられる。互いに足りないことを補おうとする。協力して事に当たろうとする。誰をも尊重する。


力が、集まってくる。
『集める』のではなく。


熱さを暑さにせぬように。
熱さを厚さ(=人望)にするように。
熱さだけでは、少数精鋭だけでは辿り着けない高みへの秘訣です。

ヒロより。
2018.7.5



未来。信じられないだろうが、おれは今 江戸に居る。手術をしていると、人殺しに間違われるような世の中で、満足な道具や薬もなく、手術をする羽目になっている。とても簡単な手術だ。今ならまず失敗することなどない。でも、そんな手術に此処では青息吐息だ。これまで手術を成功させてきたのは、おれの腕じゃなかったんだよ。今まで誰かが創ってきてくれた薬や技術、設備や知識だったんだ。

そんなものを失くしたおれは、痛みの少ない縫い方ひとつ知らない藪だった。十四年も医者をやって、おれはそんなことを知らなかった。自分がこんなにちっぽけだったことを、おれは知らなかった。謙虚なつもりだったけど、おれみたいな藪が出来る手術だけを選ぶなんて、考えてみれば随分ふざけた話だと、君は、ずぅっと、そう言いたかったのかもしれないな。

現代から江戸時代にタイムスリップした脳外科医
南方仁(みなかた じん http://www.tbs.co.jp/jin2009/chart/

TBS 日曜劇場『JIN - 仁 -』第一話
『時空を超えた愛と命の感動物語~現代の脳外科医が激動の幕末へ・・・歴史の針が今、動き出す‼』


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