白色の自己主張

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拝啓 新宿タイガー様

キリトリ
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プレジデントオンラインの連載ルポ『最年長社員』https://president.jp/category/c02701 の更新を楽しみにしている。

なにがきっかけだったか、検索結果の中に『職業は新宿タイガー』https://president.jp/articles/-/35010 を見つけ、『あっ!タイガーさんだ』嬉しくなって読み始めてからになる。

『新宿タイガー』とは、新宿という街で、虎のお面、ピンクの髪、盛りに盛られたデコレーションのコスチュームで、新聞配達を続ける男性。

『街中でタイガーさんを見かけると、幸せが舞い降りる』そんな都市伝説があることを、オレは遠距離恋愛していた時に知った。都合オレの人生には、3回幸せが舞い降りた。


一度目は、遠距離恋愛時代。

恋人が新宿で働いていて、オレは名古屋から上京。早上がりの彼女と待ち合わせて、ごはんへ行こうと歩いていたら、少し離れたところにタイガーさんを見かけた。

当時オレは彼女と遠距離恋愛で交際して、12年近くが経とうとしていた。お母様には交際当初から陰日向に味方してもらっていたが、お父様は難攻不落。

ところが、タイガーさんを見かけてから一週間ほどしたら、お父様からオレ宛に電話が掛かってきた。『差しで会いましょう』と。

これは、『別れろ』だろうと思った。昔のドラマみたいに喫茶店に呼び出されて、スッと差し出された厚みのある茶封筒。

『なんですかコレは?』
『これで、別れてくれ』
『手切れ金?』

みたいな。

お父様から後日指定された場所は、老舗喫茶店。『マジか』ここまできたらこっちも引き下がれんぞと思って乗り込んだら、『アイツのこと、よろしく頼む』まさかの展開。

一体全体どんな心境の変化がお父様にあったのか。彼女にも、お母様にもわからなかった。


二度目は、表稼業サラリーマン、裏稼業相場師時代。

勤め人には向いてないというか、とにかく働きたくなかった。スーツを着るのも嫌だし、満員電車で通勤も嫌。だから一日も早く株でアーリーリタイアすることを目差してひた走っていた。

欲しい時に欲しいだけ、息を吸って吐くように大金を鴨葱さんから巻き上げるにしても、極力完全引退で遊んで暮らしたい。そのためには億り人クラスになっていたいと思っていた矢先、会社から屈辱的な雇用契約更新を示された。

この数日前。オレは友人に逢いに出掛けた新宿で、タイガーさんを見かけていた。相変わらず対面は叶わず、遠目に見るだけだったが、一度目の幸運から、アーリーリタイアのタイミングは今じゃないかと感じた。

ずっと億り人が完全引退の条件だと盲目的に考えていたが、それは違った。『1億の大台』という単なる憧れでしかなく、完全引退に必要な資産ではそもそもなかった。『スゴいね』『カッコイイ』そう周囲に認められたい、言われたいだけなんだと気付いた。

思い描いていたカッコイイアーリーリタイアのスタートではなかったが、踏ん切りがつき、『ふざけんな!』ではなく、『そうですか。お世話になりました』更新を蹴った。


3度目は、去年通信制の芸術大学へ入学した時。

他大学の通信制で学ぶ友人と逢うため、上京。待ち合わせよりも早く着いたオレは、新宿の街を久方ぶりにぶらぶらしていた。ちょっと来ない間に東京は姿を変えるから、変わったところを探すのを堪能していたら、またしても遠目にタイガーさん。

3度目の幸運はなんだろうと、あれから約一年。

タイガーさんに密着したドキュメンタリー映画を見逃してしまったオレに、プレジデントオンラインの連載で、幸運をもたらしてくれたタイガーさんの人となりを詳しく知ることができたことなのかもしれない。
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  • posted by コウノトリの噛み痕